北区特定健康診査

受診率向上プロジェクト

プロジェクトから生まれたポスター

 

静電気で貼れる特許技術を応用

 蜂巣ゼミ、北区浮間に研究所と工場を有する中外製薬株式会社、東京都北区の産官学で連携し作成しました。このポスターは、静電気吸着紙を用いた印刷技術を持つ北区の企業、新栄プロセス社の技術 SeeCatch を応用して生まれたポスターです。

 

​プロジェクトの経緯と目標

1.

地域の魅力発信プロジェクト2016in北区

 蜂巣ゼミは、北区産業振興課主催の大学生によるプレゼン大会「地域の魅力発信プロジェクト 2016 in 北区」に出場し、企業部門の課題「ユポ・コーポレーション製の静電吸着紙を用いた商品~㈱新栄プロセス社SeeCatchの販路開拓」に取り組みました。

 成田大輔、日下部光希、大木香奈、塩浦亮太、吉井勇稀からなる蜂巣ゼミチームは、製薬会社が製作しクリニック等に配布する「疾患啓発広告」に静電気吸着紙SeeCatchを利用することを提案し、見事、最優秀賞(北区長賞)を受賞しました。そして、2016年11月のプレゼン大会をスタートとして、本格的にプロジェクトの実施段階に移りました。

2.

静電吸着紙「SeeCatch」の特性と提案内容

 SeeCatchは静電気を利用してどこにでも貼れ、貼る・剥がす作業が容易で耐久性も高いという特長があります。蜂巣ゼミの提案は、この静電吸着紙を製薬会社がクリニック等に配布する疾患啓発広告に応用することで、掲示スペースの有無にかかわらず、人が集まり目に触れるどんな場所でも疾患啓発が可能となるというものでした。蜂巣ゼミが思い描いていた目標は、SeeCatchの販路を拡大するだけでなく、SeeCatchが何らかの社会の課題を解決し人々の暮らしを豊かにする、そんな提案を行い実現させることです。

 このアイデアを固めるため、クリニックへの現地調査、医療系広告代理店へのアンケート、製薬会社MRへのアンケートを実施しました。その結果、製薬会社がクリニック等に配布する紙広告には、以下のような問題点があることを発見しました。

 ①掲示板のスペースに限りがあり、貼るスペースがない

 ②画びょうやテープで貼ることにより、壁に傷や汚れがつく

 ③広告が剥がれたり、美観を損なう

 ④そもそも貼りたいデザインではない 

SeeCatchは静電気でどこでも綺麗に貼れる、剥がせるため、上記の技術的な課題①~③をすべて解決できるソリューションとなりうることを私たちは確信しました。

​3.中外製薬との出会い

 この提案を実現しようと蜂巣ゼミは、北区に登記上の本社があり、医療分野の広告で世界的な賞も受賞している中外製薬株式会社へ連携を打診しました。中外製薬は、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(ファーマ部門 ブロンズ)、日経広告賞、毎日広告デザイン賞、読売広告大賞など国内外の有名な広告賞を多数受賞しており、私たちは「新たな発想の広告展開を提案するならば中外製薬以外にない」と信じ、ご提案の機会を頂けるよう努力しました。

 中外製薬本社でプレゼンの機会を得た結果、「SeeCatchを通じて人々の生活を豊かにする」という私たちの目標にご賛同いただき、疾患啓発広告よりも広く市民全体の生活に貢献できるよう「北区の特定健診の受診率向上」に向けたポスター製作とその展開を共同で行うことになりました。こうして、蜂巣ゼミと中外製薬の産学連携プロジェクトとして2016年の12月に本プロジェクトはスタートしました。

​4.北区との連携実現

 本プロジェクトを展開するにあたり、「地域の魅力発信プロジェクト」を主催する北区産業振興課にご協力いただきました。産業振興課が北区の窓口となってくださり、2017年2月に特定健康診査の実施を担当される北区 健康推進課へのヒアリングの機会をえることができました。北区からは産業振興課、そして実際に特定健康診査の計画や実施をご担当されている国保年金課や健康推進課からさまざまな見地からアドバイスを頂きました。行政的な視点も踏まえ、より良いポスターの製作に向けて産官学が連携して本プロジェクトは動き出しました。

特定健康診査と北区の課題

 北区の特定健康診査は、国民健康保険に加入する40歳から74歳の区民を対象に、毎年6月1日から8月31日まで行われています。国が定める特定健康診査の目標受診率は60%に定められています。北区の平成27年度の受診率は43.5%で、16.5%ほどの大きな開きがあります。本プロジェクトはこの差を埋め、北区の特定健診受診率を60%に向上させることを目標としています。

ポスター完成

 私たちは、北区が公表しているデータを分析し、誰に向けてどのような内容で訴求を行うかを立案した上でポスターのキャッチコピー案を作成したほか、ポスター掲出を補足する戦略も提案、地図から見た特定健診の問題点についても指摘を行いました。これらの提案をもとに、広告代理店のお力を借りて中外製薬とポスターを完成させました。

 このポスターは5,000枚作成し、蜂巣ゼミの学生が北区全域をまわって配布し掲示依頼を行うことになりました。

プロジェクトの実施

 

配布プロジェクトの立案

 静電気で貼れるポスターの掲出依頼をするにあたり、1期生の北林美玲をリーダーとして、森下実里(分析担当)、吉井勇稀(配布計画担当)、加納尚幸(地域調査・交通機関担当)、小林美早紀(スケジュール・人事担当/ゼミ長)の5名でプロジェクトチームを結成しました。

 ただ5000部のポスターを北区中に掲出依頼するのみならず、実際に特定健診の受診率をあげなければなりません。そのためにも、計画的に34名のゼミ生で北区中を歩きまわる必要があります。ゼミのスローガンである「戦略的に考え、組織的に行動する」ことが、私たちには必要でした​。

プロジェクトの工夫

 プロジェクトを実施してみると、班ごとに配布エリアを分けたにもかかわらず同じ店舗に重複依頼をしてしまう、なかなか話を聞いて頂けない、貼って頂けない、目標の配布枚数を達成できない、チェーン店、団地などの大規模住宅街や公共交通機関では依頼すらできない等の課題に直面しました。ゼミ全体での情報共有、モチベーションの維持、成功事例や失敗事例の共有などが必要になりました。そこで以下のような工夫を行いました。

①GoogleMapのピン打ち

 皆でMapを共有し、依頼が成功した箇所にハート、失敗した箇所にスターのピンを打ちました。それにより、重複依頼を回避できるだけでなく、各班、各個人は依頼するごとにピンを打ち、達成感を実感できるようになりました。

②グループLINEのリアルタイム報告

 〇〇は協力して下さる、〇〇はダメらしいとの情報を共有し、疑問や質問、アドバイスがあればどんなことでも自由にLINE上で報告し合い、励まし合いました。

③文化と魅力に触れる

 ただ掲出依頼をするだけではもったいない。北区の魅力を感じながら活動を行いました。 

④Twitterで魅力発信

 600近くのフォロワーを誇るゼミ公式Twitterにて、私たちが見つけた北区の魅力を発信しました。

 北区の観光地、パワースポット、歴史、特産物や名店を発見することが私たちのモチベーションにもつながりました。

⑤「北区を♡で埋めよう!」

 GoogleMapで北区を♡で埋めよう!このスローガンが皆の共通目的となり、広範囲にポスター掲出依頼が進みました。

​ 北区をハートで埋めるために、各班、各自が自発的に依頼困難地域にも粘り強くアタック。住宅街、団地、交通機関という生活の場こそが最も依頼が難しいことを実感しました。

⑥公共交通機関チームの結成

 多くの住民が利用する駅こそが最も住民がポスターを目にすると考えた加納尚幸と有川雄太は、公共交通機関にポスター掲出を依頼すべく公共交通機関班を結成しました。

 本活動の目的や社会的意義を何度も伝えることでご協力を得て、駅でのポスター掲出に成功しました。

⑦最後のピースを埋めた住宅・団地班

 北区の広域を占める住宅街、都営・区営団地、UR団地には依頼が出来ず、北区をハートで埋めるという目標は実現が難しくなりました。そのようななかで、栗林睦、大塚かほる、青木南海の3名は現状を打破するために住宅班を結成しました。都庁、区役所、UR都市機構に粘り強く協力を要請し、UR団地や公営団地、地域自治会の掲示板に多くのポスターを貼って頂くことに成功しました。住宅班の努力により、約2000箇所の自治会掲示板にポスターを掲出することができ「北区中をハートで埋める」ことに成功しました。

​ 

プロジェクトの成果

 これまでの特定健康診査受診率は、43.3%(2014年)、43.5%(2015年)、43.3%(2016年)と横ばいでしたが、本プロジェクトにより2017年は44.5%の受診率を達成しました。とくに65歳から75歳未満の方の受診率が伸びた影響が大きく、私達が丁寧にご説明してきた商店街、あるいは個人店を営む多くの高齢者が受診して下さったのかもしれません。

​東洋大学 経営学部 蜂巣旭ゼミナール

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